新人王戦決勝第1局 出口若武三段ー藤井聡太七段戦を振り返ります。
戦型は相掛かりに。昔からありそうな形ですが、お互いに角換わりで流行している▲48金(△62金)の形を採用。
図は次に▲45銀からの攻めが見えているため、△52玉と予め戦場から遠ざかりましたが、それでも▲45銀。
以下、①△86歩、▲同歩、△同飛車、▲87歩、△76飛車もあり、▲77金、△75飛車、▲86金には、△79飛車成、▲同玉、△88角成、▲同玉、△59角が受けづらく、意外に難しい形勢(以下、▲58飛車、△86角成、▲同歩、△76銀、▲78玉、△65桂…)。
本譜は②△75歩から進んで図2。
図では①▲23銀成、△88角成、▲同銀、△44角、▲32成銀、△同銀、▲87歩、△26角、▲86歩の決戦や、②▲87歩、△76飛車、▲66歩も有力でしたが、本譜は③▲35歩。
予め△46飛車と回られる手を防いだ手ですが、△36歩、▲同飛車で2筋から逸らされるのが気になるところ。進んで図3。
図は次に△77歩成~△36飛車と飛車を素抜く手を狙っており、△77歩成が王手にならないよう▲58玉と避けました。たまにある王手飛車の筋なので気をつけましょう。以下、△65歩、▲87歩、△84飛車、▲76飛車(図4)。
▲76飛車では▲26飛車が勝りました。図から△66歩が筋の一手。①▲同歩は△36歩があるため、②▲同角ですが、△同角に「Ⅰ」▲同歩は△85角の王手飛車があるため、「Ⅱ」▲同飛車と取るよりないですが、△22角で間接的な飛車と香の両取りで後手優勢に。進んで図5。
図で①▲23銀成は△同金、▲同飛車成、△22香があります。従って、②▲24歩、△同歩、▲同飛車とし、「Ⅰ」△23歩なら▲43銀成~▲84飛車の素抜きがあります(同じような飛車の素抜きの筋が本局では2回もありました)。
本譜は「Ⅱ」△34歩、▲21飛車成に△76歩が厳しい反撃。以下、▲24桂にも△41銀がしっかりした受けで後手陣が寄りません。進んで図6。
図の△46香が終盤の手筋。受けるには▲43歩成、△同金、▲47歩しかありませんが、香を犠牲にすることで、手順に金が24桂の利きから逃れ、後手陣の安全度が飛躍的に増しています。進んで図7。
△39角が決め手で、▲59銀には△48桂成、▲同銀、△47香成、▲同玉、△46歩があります。
以下は後手の勝ちとなり、藤井七段が新人王に王手をかけました。