王将戦 渡辺明棋王ー佐藤天彦名人戦を振り返ります。
図まで前例も多い形で、直近では羽生ー広瀬戦で指されています。
図から①△67歩、▲22歩が多い展開でしたが、本譜は②△68歩。
羽生ー豊島戦の記事で、①△67歩、▲22歩、△68歩成の変化を述べましたが、②△68歩に「Ⅰ」▲68同飛車と取ってしまうと、▲22歩が入っていない分だけ明らかに先手が悪くなるため、本譜は「Ⅱ」▲29飛車。以下、△69角、▲64歩、△74歩、▲58角(図2)
図では①△同角成も有力で、▲同金、△69角、▲68金、△36角成なら息の長い将棋。
本譜は②△95歩、▲同歩、△45銀直、▲同歩、△65銀と勢いよく攻めて行きましたが、結果的には少し足りなかったようです。進んで図3。
図の▲44歩は筋の一手で、①△同歩は▲43歩の時に、「Ⅰ」△同金は、▲23飛車成、「Ⅱ」△同玉は後の▲55桂が痛打になります。
本譜は②△75桂、▲78銀、△95香、▲同香(図4)
最後の▲95同香では▲75銀、△99香成、▲55桂と攻める手が勝ったようです。
図では①△99銀なら以下、▲79玉、△87桂成、▲同銀引に△38金!(取ると△58角成)が好手で後手も指せる形勢でした。
本譜は②△98銀、▲75銀、△87銀成、▲同銀、△75歩に▲55桂が痛打。以下、△99銀、▲同玉、△87角成に▲43歩成から進んで図5。
先手は▲23飛車成で△33金合を強要し、図の▲56香で①△55銀、▲同香、△64玉なら詰みはありませんが、金・銀を使ってしまったため、先手玉の詰めろがほどけており、▲22龍ぐらいで先手勝ちとなります。
△87角成の時点では先手玉が必死と思われたため、後手玉を詰ますしかないかと思いきや、金銀を使わせて凌ぐ読みが素晴らしいですね。
本譜は②△55桂と合駒しましたが、▲同香で、今度①△64玉には▲56桂と打つことができます。本譜は②△同玉、▲56歩以下、後手玉は即詰みとなり、先手勝ちとなりました。
混戦模様の王将リーグは始まったばかりですが、誰が挑戦者になるのか見当もつかず、楽しみですね。
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