NHK杯 安用寺孝功六段ー広瀬章人八段戦を振り返ります。
戦型は先手の三間飛車に対し、後手は穴熊模様。
図のように玉を48に置いたまま▲45銀と出て行くのは最近出てきた指し方です。場合によっては、▲17桂から攻めて行くため、玉は39より48の方が安定しています。
図から△84飛車と浮き、▲15歩に△74飛車(図2)と揺さぶりをかけました。
76の歩取りになっていますが、①▲88角は△84飛車、▲77角、△74飛車で千日手模様となってしまうため、受けは難しいです。
しかし、じっと②▲58金で、△76飛車と取らせても▲34銀があるため、バランスは取れています。進んで図3。
図では①▲39玉と引いて、どこかで▲65歩と突いて飛車角交換を狙う手もありました。攻め合いになると、後手はいつでも▲34桂と打たれる傷があるのが痛い形です。
本譜は②▲17桂、△24歩、▲26歩と直接的に攻めて行きます。進んで図4。
図から①▲27銀が安用寺六段らしい力強い手ですが、自玉も薄くなるため、リスクは高い手です。代えて②▲36銀が無難でした。以下進んで図5。
△26歩と垂らされている形が痛く、図では後手の攻め合い勝ちが濃厚な局面となっています。図から▲25銀、△35金、▲56銀、△77角成に①▲同飛車は、△同飛車成~△27歩成~△29飛車が厳しいため、②▲同桂とするしかないのが辛いところ。進んで図6。
▲65飛車と捌いて先手も勝負します。図では①△27歩成、▲同金、△54角が明快でした。以下、▲35飛車、△27角成、▲38金、△26馬、▲85飛車、△同飛車、▲同桂、△33桂、▲34銀、△36歩と進めるのが一例で、後手優勢。
本譜は②△34歩と受けますが、▲22歩が手筋。以下、「Ⅰ」△同玉は▲23歩~▲24歩と先手で拠点を作られてしまうため、「Ⅱ」△33桂ですが、▲21歩成、△同銀、▲24銀で先手も迫っている形。進んで図7。
図では①▲23歩で難解な勝負。以下、△27歩成、▲同金、△54角、▲36歩が一例。
本譜は②▲33銀成、△同銀、▲25桂、△24銀、▲33角、△25金、▲11角成に、△27歩成、▲同金、△35桂の反撃が厳しく後手優勢。
以下後手勝ちとなりました(図8)。
図以下、▲同玉、△27角で詰みとなります。面白い序盤戦でしたが、先手が前のめりになりすぎたところを、後手が的確に咎めて制勝となりました。
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