第66期王座戦挑戦者決定戦 斎藤慎太郎七段ー渡辺明棋王戦を振り返ります。
図は先日の棋聖戦第1局豊島ー羽生戦でも現れた、正に最先端の戦型。
ここから、▲58玉、△56銀、▲同歩、△54銀(図2)がプロ棋戦においては新手。
一方的に銀を手放すため、通常は考えづらい一手。
※控室でも驚きの声があったとのことですが、「ソフト指しでおK」さんのブログにも書かれている変化であり、私含め研究家の中では有名な手になります。
意味としては▲63銀のような手を防いだだけですが、先手も何か指すと隙ができるため、動き方が意外に難しいです。
図から▲69飛車以下駒組が進んで図3。
図から①▲75歩と仕掛けましたが、成否は微妙。代えて②▲89飛車と間合いを図るのも有力でした。
▲75歩以下、△同歩、▲74歩に△76歩で桂の取り合いに。進んで図4。
▲74歩が手筋ですが、この場合は、△64金とあっさりと金を作らせ、▲73歩成に△65桂のカウンターが厳しくなります。以下▲63と(図5)
図では単に①△54金と寄り、▲53と、△57桂成、▲同金、△53金、▲62飛車成、△52金、▲72龍、△54角で後手優勢。
本譜は②△68歩、▲同銀を利かせて△54金ですが、「Ⅰ」▲66金と逃げる手が生じました。しかし代えて「▲29飛車」としたため、△77桂成と金を取って後手優勢に。進んで図6。
図では①△78角が明快でした。以下、▲42銀、△同銀、▲35桂には、△56角成、▲同玉、△67銀、▲47玉、△56角、▲57玉、△29角成が詰めろ逃れの詰めろになります。
本譜は②△67と、▲42銀に「Ⅰ」△66とが敗着に。代えて「Ⅱ」△同銀、▲35桂、△33金なら受け切りでした。
本譜は△66とに▲35桂(図7)が妙手。
図以下、△56と、▲38玉に、①△35歩は、▲33銀成、△同玉、▲24銀、△同歩、▲23金、△同玉、▲24歩、△34玉、▲35歩、△同玉、▲25飛車、△36玉、▲28桂でぴったり詰んでいます。正に「勝ち将棋鬼のごとし」といった手順です。
仕方なく②△32金と受けましたが、▲33銀成、△同金、▲43金で詰めろがほどけません。以下、△47銀からラッシュをかけますが、先手玉は寄らず、先手勝ち(図8)となりました。
準決勝の藤井聡太戦に続き、斎藤七段は非常に強い勝ち方でした。初タイトルに期待がかかります。
5番勝負は挑戦者ノリが多いと思いますが、勝負はどう転ぶか分かりません。イケメン対決でも話題を呼びそうですし、本格派居飛車党同士の対戦なので、非常に楽しみなタイトル戦です。
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