王将戦 稲葉陽八段ー三浦弘行九段戦を振り返ります。戦型は雁木となりました。
角換わり拒否型の雁木からここまで前例も多い形。図で△同歩は▲46銀で勢いがつくため、△73銀が定跡。以下進んで図2。
①▲66歩が新手。前例は②▲38飛車等、角道を開けたまま攻勢を取ることが多かったです。以下、△75歩に▲67銀と後手と同じように受けます。進んで図3。
ここで後手から△86歩、▲同歩、△85歩と継ぎ歩で反撃します。一歩持てば常に意識しておきたい筋です。対して、▲同歩は△同銀で勢いづきますので、▲45歩以下進んで図4。
△42飛車は盤面を広く見ている手で、薄くなった4筋を狙います。進んで図5。
ここは①▲同金が勝り、以下△46飛車、▲同金、△39角、▲68飛車、△65歩、▲55銀、△57角成、▲82飛車が一例で先手有利となります。
本譜は②▲同飛車に△66角が好手で、▲同銀、△36銀、▲49飛車、△48歩に、取ると△47歩が厳しいため、▲91角成と勝負するしかなく、後手に分がある終盤戦となりました。進んで図6。
△67歩が一歩千金の決め手で寄り筋となりました。
以下、①▲同玉は、△56銀、▲同玉、△78龍、②▲同金は△88龍、▲57玉に△46銀が好手で、▲同馬、△45桂で寄り筋。
従って本譜は③▲77玉ですが、△85桂でやはり▲67玉と逃げるしかなく、△56銀以下寄りとなり、後手勝ちとなりました。
三浦九段らしい切れ味の鋭い将棋でした。
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