NHK杯 谷川浩司九段ー佐々木勇気六段戦を振り返ります。戦型は角換わりとなりました。
図で△14歩と突くのは三枚堂ー佐々木戦でも出てきた形です。その将棋は▲25歩を保留して進めましたが、本局では▲25歩と突きました。進んで図2。
図では①△45歩と反発する筋もありますが、その展開は△14歩と▲79玉の交換が先手に取って得になっています(参考:近藤誠也ー藤井聡太戦等)。
従って本譜は②△43銀。対して「Ⅰ」▲34歩~▲55銀と攻めて行く手(参考:阿久津ー渡辺戦)もありましたが、本譜は「Ⅱ」▲58金から駒組が進んで図3。
図で先手はこれ以上有効な手がないため、▲34歩と仕掛けていきます。以下、△同銀右に▲36歩(図4)が手筋で、▲35銀と出る土台を作っています。
対して、△86歩が手筋で、①▲同歩は△85歩の継ぎ歩から、▲同歩、△73桂の攻めがあります。従って②▲同銀と取らせてから、△43銀と予め▲35銀の当たりを避けて受けに回ります。以下進んで図5。
図の△65歩も手筋で、①▲同歩は△55角の王手飛車があります。本譜は②▲37角、△92飛車、▲65歩、△54銀に▲15歩、△同歩、▲同銀と端を攻めて行きます。
最後▲同銀が大事なところで、▲同香は△13歩で攻めが渋滞してしまいます。進んで図6。
ここで①▲77金右が好手。以下、△65馬ぐらいですが、▲66歩、△55馬、▲同角、△同銀で先手玉を手順に固めながら、手番を握って攻めて行くことができます。
同じようでも②▲67金右は△同馬、▲同金で形が乱れるため勝ちづらくなります。進んで図7。
ここで▲24歩、△同歩、▲35歩!が正に本筋の一手。3筋の歩が切れると攻め筋がグンと広がります。
以下、△83香と攻め合いますが、▲23歩、△31玉で下段に落とされるのが痛い形。進んで図8。
▲33歩と打てるようになるのが、先ほどの▲35歩の効果で、如何に素晴らしい手だったかが分かります。進んで図9。
図から▲91角成とバッサリ切ったのが光速の寄せでした。以下△同飛車、▲82銀で挟撃形を築きます。進んで図10。
図で投了となりました。先手玉は安泰で、後手玉は一手一手の寄りとなります。
本局は本筋の攻めから光速の寄せが炸裂し、終始谷川九段らしい快勝譜となりました。特に図7からの▲35歩は非常に参考になる一手でした。
“NHK杯 谷川浩司九段ー佐々木勇気六段戦 観戦記” への1件の返信