JT杯 稲葉陽八段ー渡辺明棋王戦を振り返ります。
後手は△73銀の力戦型を採用。最近では広瀬ー永瀬戦や豊島ー阿部戦で指されています。図では①▲16歩もありましたが、本譜は②▲66歩から雁木の構築を急ぎました。進んで図2。
図は手が広いところですが、本譜は▲45桂と積極的に跳ねていきました。進んで図3。
ここで①▲29飛車と引いておけば無難でしたが、本譜は②▲15歩。対して、
△33桂、▲29飛車、△75歩、▲同歩、△45銀、▲同歩、△76歩、▲同銀、△66桂(図4)
途中△45銀で△45桂は▲同歩が銀に当たり後手を引くため、銀から行くのが手筋で桂馬の両取りがかかりました。
図では①▲68金右が勝り、以下△78桂成、▲同金、△45桂、▲46銀、△66金、▲45銀、△76金、▲46桂の攻め合いは先手に分があります。
本譜は②▲67金左以下、進んで図5。
図では①▲61飛車、△41金打を先に決めて、▲66銀打と受ければ先手優勢でした。
本譜は▲46桂とこちら側を受けましたが、△45銀、▲61飛車、△41金打、▲37銀に△77角成と桂を取られたのが痛く後手優勢に。
以下後手勝ちとなりました。
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