王座戦 永瀬拓矢七段ー佐藤天彦名人戦を振り返ります。戦型は角換わりとなりました。
ここは後手が早繰り銀・腰掛銀のどちらで来るか分からないため、どちらでも対応しやすいよう▲48金と上がります(①▲37桂は桂頭が気になりますし、②▲56銀も▲37桂と跳ねづらくなるのと▲45歩・▲56歩のような展開を選択できなくなるのがネック)。進んで図2。
銀を上がらずに△75歩と仕掛けるのが新手。雁木に対しては見たことがありますが、矢倉に対しては見たことが無い筋です。確かに、以下▲同歩、△64銀に▲76銀とできない(△86歩がある)のであれば先手も咎めるのは難しいようです。本譜は△64銀に▲74歩(手筋)から進んで図3。
後手は飛車で74歩を回収し、先手はその間に▲47銀を67に移動させます。ここは△84飛ぐらいで一局でしたが、本譜は△55銀。これがやりすぎで、対して▲56歩に銀を引くのでは何をやっているのかわからないため、△76歩(取れば△66銀)としますが、▲55歩から歩損になってしまいます。進んで図4。
後手が歩損した割に先手の形は乱れておらず、先手優勢と言えます。
ここで▲65銀が手厚い一着。△84飛は▲54歩から▲75角の王手飛車があるため、△73飛しかありませんが、いつでも▲74歩で飛車を押さえ込めるため、先手玉がかなり安全になっています。進んで図5。
後手はジリ貧を避けるため、△27銀と勝負手を放ちますが、▲84銀で飛車を殺す手ができたため、結果的には負けを早めました。以下、▲同飛、△38角に、▲15角が好手。合駒がないため玉を逃げるしかありませんが、△52玉は▲84銀から飛車を取って▲51飛があるため、△31玉しかありません。以下、▲37飛~▲51角成で後手は寄り形となります。進んで図6。
▲41銀が決め手で、△42金には▲33歩成~▲32歩のような手があるため受かりません。以下先手勝ちとなりました。
佐藤名人はらしくない将棋が続いていますが、様々な戦型を試行錯誤している段階と思われますので、結果が出てくるのを期待したいです。
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