叡王戦第二局を振り返ります。戦型は5手目77銀対飛車先切らせ73銀型となりました。
当ブログでも解説している戦型となりますので、併せてご参照ください。
5手目77銀対飛車先切らせ73銀型①
5手目77銀対飛車先切らせ73銀型②
5手目77銀対飛車先切らせ73銀型③
高見六段が自身の前例を踏襲する形で、図2になりました。
ここで△75歩は前例どおり進むと後手自信なしとなりますので、△42銀。
以下先手は▲25銀、△33銀として▲24歩からの銀交換を権利に残したまま駒組を進めました(図3)。
図3では△75歩と仕掛ける手もありました。本譜は△44歩と▲56歩の交換が入ったため、△75歩、▲同歩、△同銀、▲79角、△86歩、▲同歩、△同銀の瞬間▲46角が生じました(図4)。
ここで△64角は、▲同角、△同歩に▲83歩の切り返しがあります。以下、△同飛、▲61角に、△82飛なら▲83歩、△84飛なら▲85歩、△同飛、▲76金から銀を取られてしまい後手不利。
として読みを打ち切るところですが、①△82飛、▲83歩、△62飛、▲52角成、△同飛、▲86銀、△31玉(参考図1)の変化も、②△84飛、▲85歩、△同飛、▲76金、△82飛、▲86銀、△51金、▲83銀、△61金、▲82銀、△39角(参考図2)の変化いずれも後手が互角以上に戦える変化でした。
先入観に囚われず、深く正確に読むことが大切ですね。
少し脱線しましたが、本譜は図4で△73歩と受けました。
これでも後手が悪くなったわけではありません。以下進んで図6。
先手が端攻めを見せたのに対し、△22銀と引いて受けました。ここで▲72歩と手裏剣を飛ばします。取ると後手の飛車が攻めに利かなくなるため先手は攻めに専念できます。対して△33桂が勝負手。以下進んで図7。
△33桂で25銀を引かせることはできましたが、今度は▲21銀が生じました。対して後手も△88歩の手筋で対抗します。取ると形が乱れるため、▲77桂(終盤に差し掛かったところでは取らない方が良いケースが多い)。進んで図8。
図では、▲14飛と走り、△12歩、▲13歩、△同歩、▲同飛成、△12銀打と駒を使わせて、龍を引いておいた方が良かったようです。本譜の▲64歩は筋ですが、この局面では、△同角、▲65香、△97角成、▲63香成に△62歩の受けが利くため、あまり効果を上げられませんでした。進んで図9。
24の香で桂香を拾って△74桂が急所の一着。先手苦しい局面ですが、▲67香が金を取られた後に相手にプレッシャーを与える手です。逆転するにはこういった手を指す必要があります。以下△48銀にも▲58金で粘ります。進んで図10。
ここでは△36成銀~△45桂として上から玉を攻めるべきでした。本譜は△68歩で玉を上に呼んだため、かえって寄せづらくなりました。進んで図11。
ここで△75馬が敗着となりました。以下、▲同金、△66銀に▲99飛で先手玉が寄りませんでした。
流れは悪いですが、図では△33馬なら難しい戦いが続いていました。
痛恨の逆転負けで連敗スタートとなった金井六段ですが、巻き返しを期待したいです。
“4/28 叡王戦第二局 高見ー金井戦” への2件の返信